***送信管シングルアンプ製作例***

75TLシングルステレオアンプ

75TLは、プレートロス75Wのタンタルアノードの3極送信管である。以前、PPとしたアンプを製作したが、やはりシングルでの音が聴いてみたくなり製作した。トリタンフィラメントはステンのシャーシにピッタリで、美しいアンプに仕上がったと自負している。

75TLは、211並の規格なので、設計製作は簡単だがプレートロスは最大75Wと小さいのでこれを超えないように注意する。
タンタルアノードは赤熱させることで、音の透明度が一段と増すことを経験しているので、アノード電圧900V、電流は65mAと設定した。75TLはプレートロスが50W程度で赤熱する。

フィラメントは、5V/6Aなので、SW電源を使用する。SW電源を使用する場合、ON時のフィラメントへの突入電流対策は必須である。この対策無しで、容量の大きいSW電源を使用すると、何度かON/OFFを繰り返すうちに、フィラメントを焼損する恐れがある。また発熱とノイズ対策も重要で、狭いシャーシー内に押し込んではトラブルの元である。そこで今回はフィラメント電源は別筺体として、ケーブルでアンプ本体と接続するようにした。このフィラメント電源は、別のアンプにも使用できるというメリットもある。 







DET16 シングルステレオアンプ

こんどは、DET16 専用のアンプを製作してみた。電源トランスを特注して、整流管整流とした。整流管には、傍熱型半波整流管、836を使用した。836は、傍熱型ということもあり、極めてタフな整流管である。ヒーターは、2.5V/5Aと、866などの水銀整流管と同じだが、使いやすさと丈夫さにおいては比較にならない。水銀整流管の場合、フィラメントの予熱で、分オーダーが必要だが、836は、わずか30秒でよいとマニュアルにある。。また、水銀整流管はリレーなどでONした時、ショックでフィラメントが切れることが多く、チョークインプットが不可欠だが、836なら、コンデンサーインプットでもOKである。836は、1本でMAX250mA取り出せるので、2本両波整流に使用すれば500mA取り出せる。シングルステレオアンプなら充分だ。

また、DET16は、プレート電極が直径20mmとでかいので、自作した。感電防止のためビニルテープで巻いて上部にホーロー抵抗の固定用セラミック板を入れてある。アマチュアなら、創意工夫でなんとでもなるものだ。







845/AB−150 シングルステレオアンプ

845は増幅率が5.6と一桁で、古来オーディオ用として重宝されてきた。増幅率が一桁の送信管は少ないが、このAMPEREXの、AB−150は、数少ない845同等の送信管である。845と比較すると、TOPプレートであり、ガラス容積も太くてでかいので、貫録がある。

そんな、AB150を用いて、新生ISOトランスでシングルステレオアンプに仕上げてみた。ISOトランスでは、かつてのTANGOトランスと同等の製品が、まだ一部ではあるが用意されており、今後その種類も増えていくと聞いているので、頼もしい限りだ。近年、TANGOトランスの中古品がオークションなどで高値を呼んでいるが、わざわざ中古品を新品よりも高値で買うなど馬鹿げている。

さて、旧のTANGO/ISOで、Xシリーズに相当するのが、新生ISOでは、FC40シリーズだ。また、XEシリーズに相当するのが、FC30である。従来のTANGO製品とそのまま置きかえられるのもうれしいかぎりだ。






845装着時




845/AB−150 シングルステレオアンプ NO.2

AB150アンプの第2作で、今度はイントラを使用した。 手元にタンゴNC10があったのでこれを用いた。 NC10では、1:2の昇圧ができるので、211のドライブ電圧で簡単に845のドライブ電圧を得ることができる。 近年はケミコンが小型化されていてシャーシ内に内蔵できるので、従来のケミコンのスペースにイントラを取り付け、さらにディレイ用タイマーの代わりにTVのダンパー管も取り付けた。 ケミコン4個用のスペースを使用する。 三栄無線のアンプに付いていたタイマーでは、小型すぎて耐圧の点で難がある。 ダンパー管のヒーターの立ち上がり時間を利用すれば、リレー接点のバウンシングから解放されてスムーズに高圧が立ち上がる。 かつてのTV用ダンパー管は高耐圧で丈夫であり、5AR4などより、ずっと適している。 かつてTV用に大量に製造されたものが出回っていて価格も安い、使わない手はない。 また、出力管保護用のフューズホルダがあるが、こんなものは無い方がよい、高圧線は最短で配線し、他の線との結束もしてはいけないことは、高電圧工学では常識だ。 もっとも、1KVぐらいでは高圧とは言わないので、そこまで考えなくてもよいのかもしれないが。 ここでは、このフューズホルダの部分に、出力の8オームと16オームの切り替えスイッチを設けた。 トグルスイッチひとつで8と16オームの切り替えができるようにした。
AB150はトッププレート電極でプレートキャップを使用するが、口金の形状が、スカートと呼ぶふくらみがあるので、そのままでは感電の恐れがある。この場合、電気用ビニル絶縁テープを巻いておく。1回巻きで耐圧が約600Vとあるので、3回ぐらいまいておけば十分だ。とはいってもなるべく触らないようにするため、テープは透明とした。またAB150は845などより背が高いので、ボンネットは、背高を特注し、シャーシー上面をすっぽりかぶせることにした。










254W シングルステレオアンプ

Eimacの直熱型3極管、254Wを用いたシングルステレオアンプを製作した。254Wは、本家はガンマトロンであるが、軍用としてEimacあたりでも製造したらしい。トリタンフィラメントで、5V/7.5A、タンタルプレートのロスは100Wであるが、ほぼ同じ規格の100THのプレートの2倍ぐらいの大きさである。規格表には、ヘビーオーバーロードに耐えうると書かれていることからもうなずける。また、見るからに美しく、かつ、堅牢な造りの球である。フィラメント電源は、もちろんSW電源だが、75TLシングルアンプの時に製作したものを使用した。これは最初にフィラメント電源部のSWをONすると、約半分の電圧を254Wに供給して予熱をする。30秒ほどしてアンプ本体のSWを入れると、フィラメント電源部のリレーがONして100%の電圧となる仕組みだ。

254Wは、Ep=1000Vでゼロバイアスなら約100mA流れるから、直結回路で、Ep=800Vで+25VとしてIp=100mA流すことにする。この場合、プレートロスが80Wであるが、まったく赤くならない。試しに100Wとしてもうっすらと赤熱する程度である。100THあたりは、80Wロスで赤熱するが、254Wはプレート面積が大きいため、80Wぐらいでは赤くはならない。音質的には赤熱して使用したいが、電源トランスMS210DRの定格容量を超えるためこのままとした。最大出力は27W/CHである。モノラルで2台製作すれば、50W/CHは期待できそうだ。出力トランスは手持ちの旧タンゴ製、X−5Sを使用した。プレートロス100W級の送信管を使用するなら、シングルの方がPPよりもずっと作り易く、音質的にも優れているように思う。(2018年2月記)







STC 5C/450A シングルモノラルアンプ

太っちょのうさぎさんの愛称で知られる、STCの5極送信管、5C/450Aを用いたシングルアンプを製作した。 5C/450Aは、ご覧のように、プレートとサプレッサーグリッドG3が、管球の頂上に2本突き出た形状で、いわゆるサプレッサー変調用だ。

起源は1940年代のドイツ、テレフンケンの、RS−384 あたりだが、日本でも、P−220やP−250、さらにはP−680などのP管として普及したので広く知られている。 小中出力用だが変調効率が良いので、送信機が小型にできる利点があり、欧州や日本ではかなり普及したが、大出力では調整が難しい面があり、国土の広い米国では、あまり普及しなかったらしい。そのためかアメ球のP管は見たことがない。

さて、この5C/450Aは、トリタンフィラメントで10V/12A、プレートが450Wという球である。 スクリーンG2が600Vでも深いマイナスバイアスとなり、1KVでG1バイアスー100Vで200mAも流れる。それならというわけで、TOPは、6SN7GTのSRPPとし、ドライブ段は同じSTCの12E1のトランス結合とした。 バイアスの深い球にはトランス結合が簡単で最適であろう。重量の点からも、モノラルで2台製作したほうが好都合である。未知の球なので、今回は、タンゴのX−5Sを用いて、電流も150mAほどで軽く使うことにする。 P管の場合、スクリーンのG2をどこにつなぐかで、特性がかなり変わってくる。プレートにつなぎ3極管接続とすれば、内部抵抗の低い3極管となり、650V電圧で、15W出ることを確認した。もっと電圧を上げたいがスクリーンの最大電圧は、650Vとある。5極管としてスクリーンに600V程度としてプレートに1KVかければ、最大出力は、30W程度となった。さらには、GIとG2をつなげば、内部抵抗の高い球となる。プレート損失は450Wもあるわけだから、極めて内輪な使い方で、本来なら、1.5KVで250mA程度流し、50W出力としたいところなのだが、この場合、クラーフ結合とする必要があるので次回に譲ることにする。

上部のキャップとソケットは自作した。いずれも、真ちゅうパイプを電極として利用する。いかにして恰好よく、また十分なコンタクトが得られるように製作するかが、アマチュアの腕の見せどころである。、たとえば、プレートキャップのリード線などは、キャップの真上から引き出すとカッコわるいので必ず横から引き出す。また、212Eなどと同じソケットなので、市販品でもよいが、今回は、30mm厚のベーク板に真ちゅうパイプを打ち込んで自作した。30mm厚のベーク板に15mmの穴を開けるのだが、この作業はボール盤での手作業は危険である。この場合は、旋盤で加工する必要がある。今回は、600Vの3極管接続とし、コンパクトなアンプとした。最大出力は、わずか15W程だが見ても聴いても楽しめるアンプとなった。